ニューヨークでの肩の痛みの治療

腕が上がらない、夜に痛む、運動するとまた痛くなる。痛みの改善から、やりたいことを続けられる身体へ。

腕を上げると痛い。服を着替えにくい。夜、肩が痛くて目が覚める。運動を再開すると、また同じ場所が痛くなる。

ひとことで「肩の痛み」といっても、その背景はさまざまです。腱や筋肉の問題、関節の硬さ、不安定性、過去のけがなどによって、必要な対応は変わります。首や神経の問題が、肩の症状として現れることもあります。

TAI NYCでは、まず肩そのものの状態を丁寧に評価します。そして、これまでのスポーツ歴やけが、仕事、生活習慣、現在の身体の使い方まで確認し、その人に合った治療方針を考えます。

目指すのは、痛みを改善すること。そして、その先にある、好きなことを続けられる身体づくりです。

まず、肩に何が起きているのかを見極める

肩の痛みには、腱板の問題、五十肩、フローズンショルダー、石灰沈着性腱板炎、関節の変性、関節唇の損傷、不安定性など、さまざまな状態が関係します。

診察では、痛む場所だけでなく、いつから、どのようなきっかけで始まったのか、どの動作で痛むのかを確認します。肩の可動域や筋力、自分で動かしたときと検者が動かしたときの違い、首や神経の所見などを組み合わせて評価します。肩が痛いと思ったら、首からの神経痛だったということもよくあります。

必要に応じてX線、超音波、MRIなどの画像検査、状況によっては専門医への紹介も検討します。必要な画像検査は、当院から直接オーダーしますので、先に病院へ行かれる必要はありません。

診断は、病名をつけるためだけではありません。何を保護し、何を動かし、どのように負荷を戻していくかを決めるための出発点です。

よくある肩の痛み

肩の痛みでよく使われる名前と、その特徴です。同じ「肩が痛い」でも、どれに当てはまるかで、やるべきことが変わります。

五十肩(フローズンショルダー)

肩の関節を包む袋(関節包)が硬くなり、痛みとともに、肩の動く範囲が大きく狭まる状態です。「腕が上がらない」「後ろに回らない」「夜に痛む」といった症状がよく見られます。日本では、40〜50代の肩の痛み全般を「五十肩」と呼ぶことも多いのですが、医学的な五十肩は、この「固まる」状態を指します。ただし、「五十肩」は正確な診断名ではなく俗称なので、人によって指す範囲が違います。

腱板の損傷・腱板の痛み

腱板は、肩の関節を支える4つの筋肉の腱です。腕を上げる途中や、物を持ち上げたとき、腕を外にひねったときに痛みが出やすくなります。よくある症状ですが、画像診断に頼りすぎると本質を見失うこともあります。例えば、日本の一般住民を対象に肩を超音波で調べた研究では、腱板の断裂が見つかった人の約65%に症状がありませんでした。[1]

画像と痛みが一致しないことは、腱板に限りません。肩に症状のない45〜60歳の53人を対象としたMRI研究では、2人の専門医が、それぞれ55%と72%の人に上方関節唇損傷があると判断しました。[2]

これらの研究は、画像で見つかったものが、必ずしも痛みの原因とは限らないことを示しています。しかしながら、画像診断と一致する痛みも沢山あり、もちろん画像診断は必要なことがあります。日本では特に病院以外の医療機関を中心にMRIやレントゲンは意味がないと言われることがありますが、これは大きな間違いです。必要なことも必要でないこともあります。

インピンジメント(肩峰下の痛み)

腕を横から上げていく途中で、肩の外側や前側が痛む状態です。腱や滑液包が刺激されていると考えられていますが、肩甲骨の動き、腱板の働き、運動量なども関係します。これらが引き金で、腱板(筋肉、腱)の損傷を起こすことも多く、診断は一つではなく、2〜3個になることもよくあります。

そのほかの原因

石灰沈着性腱板炎(急に強い痛みが出ることがあります)、関節唇の損傷、脱臼のあとの不安定性、首からくる痛みなども、肩の痛みの原因になります。首から肩、肩甲骨まわりの張りやこわばり(いわゆる肩こり)については、肩こりのページをご覧ください。

今の肩を知るために、これまでの使い方を知る

肩の動きは、その人が積み重ねてきた活動によっても変わります。

例えば、野球などで長く投球をしてきた人では、投げる側の肩が反対側より外に回りやすく、内に回りにくいことがあります。痛みのない大学野球選手54人を調べた研究では、この左右差が、上腕骨のねじれ(骨の形)の違いと関係していました。[3]

そのため、左右の動きが違うというだけでは、治療が必要かどうかは判断できません。その人にとって以前からある特徴なのか、最近生じた制限なのか。痛みや筋力低下を伴うのか。現在の生活やスポーツに支障があるのかを確認します。

学生時代にしていた競技、以前の脱臼や転倒、長年続けている仕事、最近変えたトレーニング。こうした経歴が、今の肩を理解する手がかりになります。

肩の問題と、肩に負担が集まる理由を考える

局所の状態を把握したうえで、症状に関係する動作や負荷を調べます。

肩は、上腕骨と肩甲骨だけで独立して動いているわけではありません。腕を上げるときには肩甲骨や胸郭が動き、投げる・打つ・引くといった動作では、体幹や下半身との連動も必要になります。

当院では、肩甲骨や体幹の動き、仕事中の姿勢、スポーツ動作なども必要に応じて評価します。姿勢や左右差を一律に問題とするのではなく、実際にその人の肩の負担や症状に関係しているかを見極めます。

動きが足りないのか。支える力が不足しているのか。運動量が今の身体の能力を超えているのか。こうした要素を整理して、治療と運動に反映します。

手技で動きやすさを整え、運動で使える力へ

治療では、状態に合わせて手技と運動を組み合わせます。

軟部組織への手技や関節モビリゼーションによって、痛みを和らげ、動きやすさの改善を図ります。そのうえで、必要な可動域、肩を支える筋肉の働き、動作のコントロールを運動で育てます。

2025年に発表された腱板の痛みに関する診療ガイドラインでも、運動療法が治療の中心として推奨され、手技は運動と組み合わせることで、短期的な痛みの軽減を助ける選択肢とされています。[4]

硬さが強い肩と、不安定性がある肩では、必要なアプローチは異なります。症状や運動後の反応を確認しながら、負荷や動かす範囲を調整します。

そして状態が落ち着いてきたら、押す・引く・支える・持ち上げるといった基本的なストレングストレーニングへ進みます。回復した動きを、日常やスポーツで使える力に変えていく段階です。

肩の強さは、登山やハイキングにもつながる

肩の治療と聞くと、腕を上げることや、服を着替えることを思い浮かべるかもしれません。しかし、肩や上半身の力は、一見関係がなさそうな活動でも必要になります。

登山やハイキングでは、手すりや鎖をつかむ、岩に手をついて身体を支える、荷物を持ち上げて背負うなど、上半身を使う場面があります。ゴルフでは、肩の動きに加えて、体幹と連動してクラブを振り、繰り返す負荷に耐える能力が求められます。

また、つまずいたときに何かをつかんだり、手をついて身体を支えたりする場面でも、上半身の力は役立ちます。前に転んだときを想定したシミュレーション研究では、年齢とともに腕の筋力が落ちると、腕で身体を受け止めきれずに肘が曲がってしまい、身体や頭を打つリスクが高まることが示されています。[5] 筋力があれば必ずけがを防げるわけではありませんが、身体を支える力を維持することには意味があります。

肩の強さは、肩のためだけに必要なのではありません。好きな活動や、自立した生活を支える力の一部です。

こんなときは、早めに医療機関へ

  • 転んだり、ぶつけたりしたあと、肩の形が変わっている、腕がまったく上がらない
  • 肩や腕の痛みに、胸の痛み・息苦しさ・冷や汗を伴う(心臓の病気の可能性があります。すぐに救急へ)
  • 発熱がある、肩が赤く腫れて熱をもっている
  • 腕や手のしびれ、力が入らない状態が広がっていく
  • 安静にしていても強い痛みが続く、原因の分からない体重減少がある、がんの治療歴がある

このような場合は、まず救急や医療機関での確認をおすすめします。

よくあるご質問

アメリカでは、肩が痛いとき何科に行けばいいですか?

整形外科(orthopedic)、フィジカルセラピー(PT)、カイロプラクター(DC)など、入口はいくつかあります。当院も同様に診察をして、必要なレントゲンやMRIを直接オーダーし、手術などが必要な場合は専門医に紹介することができます。痛む場所の治療が中心になることも多いのですが、私は全身をチェックし、過去の運動歴や身体の使い方を分析し、将来の生活に必要なトレーニングまでつなげることを大切にしています。どこに行けばよいか迷っている段階でも、体全体を通して健康になりたい場合でもご相談ください。

MRIで「異常なし」と言われたのに、肩が痛いのはなぜですか?

MRIは肩の構造を写す検査で、痛みの原因すべてが写るわけではありません。動きの硬さ、筋力、肩甲骨の使い方といった問題は、画像には出ません。診察で、どの動作で何が起きているかを確かめます。特定の動きで、特定の組織に負荷をかけるメカニズムが必ず画像で特定できるとは限らないのです。むしろ画像に写るのは、動きや負担の問題が積み重なった「結果」であることも多いのです。

夜、肩が痛くて目が覚めます。

五十肩や腱板の問題でよく見られる症状で、寝る姿勢を工夫すると楽になることもあります。ただ、肩の問題によく見られる症状なので、続く場合はご相談ください。

痛みをきっかけに、これからの身体をつくる

当院では、「どこが痛いですか」とともに、「何をできるようになりたいですか」を大切にしています。

またゴルフを楽しみたい。家族とハイキングに行きたい。旅行先で荷物を持ち、歩き回りたい。年齢を重ねても、自分の身体を使って生活したい。

その目標によって、必要な可動域も、筋力も、練習する動作も変わります。

肩の痛みを評価し、手技と運動で回復を支え、ストレングストレーニングを通じて活動に必要な力を育てる。その先にあるのは、一人ひとりが望む生活と、将来の生活の質(QOL)です。

痛みをきっかけに来院された方が、回復を通じて、以前より元気に活動できるようになる。TAI NYCが目指すのは、そこまでを見据えたケアです。

初診は90分です。お話をじっくり伺い、診察と動きの評価をしたうえで、今の状態と目標に合った計画をご説明します。初めての方は、初めての方へもご覧ください。

参考文献

  1. Minagawa H, et al. Prevalence of symptomatic and asymptomatic rotator cuff tears in the general population: from mass-screening in one village. J Orthop. 2013. PMC
  2. Schwartzberg R, et al. High prevalence of superior labral tears diagnosed by MRI in middle-aged patients with asymptomatic shoulders. Orthop J Sports Med. 2016. DOI
  3. Reagan KM, et al. Humeral retroversion and its relationship to glenohumeral rotation in the shoulder of college baseball players. Am J Sports Med. 2002;30(3):354-360. PubMed
  4. Desmeules F, et al. Rotator cuff tendinopathy diagnosis, nonsurgical medical care, and rehabilitation: a clinical practice guideline. J Orthop Sports Phys Ther. 2025. DOI
  5. DeGoede KM, Ashton-Miller JA. Biomechanical simulations of forward fall arrests: effects of upper extremity arrest strategy, gender and aging-related declines in muscle strength. J Biomech. 2003;36(3):413-420. PubMed